本田由紀氏 問題別分科会紹介 その2

 高校普通科の職業的意義を問う―ポスト近代における<能力>と<学力>の変容をふまえて― その2が大阪の井沼さんから届きました。
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 本田さんの提起する普通科高校変革の方向は、
専門分野別の「水平的多様化」、簡単にいってしまえば、普通科高校の教育課程に専門高校に準じたコース制やフィールド選択を導入し、分野別の専門基礎の教育を行おうということです。そうすることの理由を、本田さんは4つあげています。

①その分野に関するある程度の基礎的な能力獲得の実感。

②分野別のカリキュラムの選択を通じた主体的に選択することの「練習」。

③その分野と自己の適性の「すりあわせ」。

④同じ志向を持つ生徒集団内に生まれる有益な相互関係。

 これらを通じて、主体的な選択力量と実質的な能力形成を行うというのです。

 現場教師としては、社会(企業)の要請に応じた人材育成をより強めようというのとどう違うの? と疑問に思うでしょう。本田さんがいう「教育の職業的意義」では、以上のような「適応」の側面と同時に、労働条件の是正や改善のみならず、社会を生きる当事者として生きる姿勢を培う「抵抗」の側面の重要性も指摘しています。ただ、「適応」に較べて、「抵抗」について述べる本田さんの主張は、一般論の範囲を出るものではないようです。やっぱり、「抵抗」より「適応」を重視しているのだと思います。

 だとしたら、分科会では、現場教師からの反論が出て侃々諤々の議論になりそうです。多くの場合、現場でのコース制などの多様化は、学校の生き残り戦略として進学率または就職率上昇の隠れみのに使われるに過ぎないことを、現場教師は身にしみて感じていますから。(その3につづく)
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